【食の未来】科学技術で食料を作るメリットとデメリット
FOOD日本の食料自給率はわずか39%
近年、科学技術を利用した食品が我々の食生活にも身近になってきている。
その理由の一つが日本の食糧自給力の低さである。
日本は他の先進国と比べ食糧自給率が低く、わずか39%しかない。
科学技術と自然栽培のバランス
国土の小さなわが国だからこそ、食品の安定した供給を目的に科学技術を駆使した新しい食の生産スタイルが次々に生まれている。
例えば、良く知られるようになった人工光型植物工場は、完全に閉鎖された空間の中で蛍光灯やLEDなどの人工光で野菜を作るシステムである。
Photo: 遺伝子組換え食品Q&A(日本国際生命科学協会)
科学技術生産のメリットとデメリット
植物工場は、バイオテクノロジー関連の研究をしている実験室で使われるGrowth Cabinetを大きくした構造で、温度・湿度はもちろん、照明時間、照明の強弱なども調整できる。
これは「小さな規模で正確な栽培が出来る」ということだ。
植物工場の利点は、
①気候や天候に関係なく安定した生産が可能であること
②土壌が必要ではないため、ビルや倉庫内など、農地でない場所で生産できること
③害虫などがいないクリーンな栽培環境のため、農薬を使わずに生産できること
などがある。
また、遺伝子組み換え農産物(GMO:Genetically Modified Organism)が、将来的には食品の安全面・倫理面の問題がクリアされると、食用、飼料用、バイオ燃料用などに、合理的・科学的な利用ができるようになると考えられる。
現在利用されている遺伝子組み換え食品は大豆、とうもろこし、 綿実油、菜種油等の食品によく見られる。 photo:WIRED
遺伝子組換え技術は、食品の風味を改善したり、より栄養価の高い食品を作ったり、食品の機能性を高めたり、また食品の生産性を向上させるなど、さまざまなメリットをもたらす。
具体例として、コレステロールを低下させる大豆、食品中のアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)の含有量が少ない農作物などがある。
遺伝子組換え技術を利用することによって、私達の食糧を安定的に供給することが出来るようになれば、例えば、病害虫に対する抵抗性を向上させた作物は農薬の散布量を減らし、環境を保全しながら病害虫による収量や品質の低下を防ぐ有効な手法である。
また、将来は遺伝子組換え技術によって、塩害や冷害で現在は作物を栽培できない地域でも作物が栽培できるようにする取り組みも行なわれている。
遺伝子組み換え食品のデメリットとして、
①安全性により検証が必要なこと
②生態系への影響が考えられる
残された課題も多いのが現状だ。
遺伝子組み換え食品は意外なほど身近にあり、例えば菜種油などは1970年代には日本に輸入されていた。
今現在、遺伝子組み換え食品には表示義務があるが、例えば植物油など、精製度の高いものではDNAの検出が困難なため、植物油原料などに用いられる。
植物油原料の半分以上が遺伝子組み換え食品であることを知り、驚いたことがある。
科学技術を使った食糧生産は、安全性などで未だ抵抗のある人も多いが、このまま人口が増加していけば、必ず食糧の枯渇を招くため、これからの食に科学技術は必要かもしれません。
Editors’ Voice 佐藤駿
科学技術を用いた食の未来に関しては、様々な考え方があるだろう。
日本の食料自給率は現状39%で外国からの輸入に頼らざるを得ないし(改善できるところも多々あると思う)、国内で生産するとなると国土も限られていることから食の未来には真剣に考えていかなければならない。
日本だけみれば人口減少の国だが、世界をみると人口は増加傾向にあることから、限られたリソースの中でどれだけ効率よく作るかは課題だ。
もちろん効率だけで解決できない部分も多くあり、この問題は生態系まで関与してくる広く深い 話。
こういうことに気づいている皆様はまず何をやりますか?
佐藤 駿 Facebook Twitter
デザインファーム【THE APP BASE株式会社】代表取締役/コワーキングスペース【DEN】管理人/未来の選択肢を共有するWEBマガジン【THINK FUTURE】編集長/欲しいものはつくろう、自分の手で。DIY写真.レシピ共有アプリ【HANDIY】運営
1984年9月27日生まれ。中央工学校建築設計科卒。3姉妹のパパ。
建築業界(現場監督、設計事務所等)→東日本大震災で価値感が大きく変わり、場所に捉われない働き方ができるIT業界へ転身。
起業と同時に東京から長野へUターン。長野でコワーキングスペースDENを始め、地方発の起業家を増やし小さな経済圏を構築、挑戦する人を増やす。
未来の選択肢を共有するWEBマガジン THINK FUTUREで新しいライフスタイルを提供。
スマートフォンアプリのデザインやWEBサービスのUI、UXデザインを主に手がけ、ひいては建築の意匠設計・地域デザイン等、「広義のデザイン(問題を捉える正しい表現を掴む)」と「視覚のデザイン(問題を解決するUI、UXデザイン)」の両面からアプローチするデザインファーム。